第168夜 au the noir

お茶と革とウードが絡んだ落ち着いた香り

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DATA

Name:au the noir
Brand: BVLGARI
Lauched in 2015
Perfumer:Jacques Cavallier

My Episode

ウードの香りは香料の中でもかなり重いので、香りの持ちも良いし、最後までしっかりと香ることも多い。
それだけに、どの香料と組み合わせるか、によって、その表情が少しずつ変わってくる。重い香りなので、そんなにがらりと変化することはなく、どの香料と組み合わせても「あぁ、ウードくん、そこにいるのね。隠れてても無駄よ」と感じることが多々ある。
そして、合わせる香料も実に様々で、例えばベルガモットのようなシトラス系の香りとも組み合わせることもあるし、ローズのような花の香りと共演することも多い。
さらに、重い香り同士で組み合わせる場合も多々あり、重さが幾重にも感じられて、それがまた良いのである。
今日ご紹介するブルガリの「オーテノワール」もそんな重さを感じる香りである。
メインとなるのは、中国雲南省産のブラックティー。しかし、ぼくが一番感じたのがレザーの香りである。しっとりとした革の質感が鼻腔に残る。そして、そこに絡まったのがウードの深い香り。
これが本当に美しい。
ブルガリからこんなに素敵な香りが出ていたんだ!という驚き。
公式サイトを見ると、もう載っていないようなので、日本では公式には売っていないのかもしれないが、これは定番にしても売れるんじゃないかと思えるほど良い。
というのも、ウードの独特の香りが苦手な人でも、これだったら許容範囲なのではないか?と思わせる柔らかさがあるのだ。
しかも、ウードが好きなぼくでもそれは受け入れられる香りでもあるのだ。
フローラルウッディというカテゴリーに入り、ダマスクローズアブソリュートなどの香りもするのであるが、とにかくすべての香料が見事に調和しているように感じる。
特にこれは秋から冬にかけて大活躍してくれそうな香りだ。


Note

Black Tea, Leather, Tobacco, Damsk Rose, Agarwood(Oud),Woody Notes, Patchouli

タバコのスモーキーさはそれほど強く感じられないが、とにかく重い香りが見事に重なり合っていて、さすがジャック・キャバリエはすごい調香師だなと思ってしまった。

My Evalution

★★★★

とにかく美しいの一言。でも、きれいすぎてそつない感じもする。スキがないというか。もう少しガツンと何かくるものがあれば星が増えるんだけど、でもそうなると「オーテノワール」ではなくなってしまうので、このぐらいの静かで重い感じが良いのかもしれない。
限りなく星5に近い星4だ。