第175夜 Mure et Musc

香りに疲れた時の癒しの香り

f:id:happyinkdays:20210818202315j:plain

 

DATA

Name:Mure et Musc
Brand: L'Artisan Parfumeur
Lauched in 1978
Perfumer: Jean-Francois Laporte
100ml ¥20,240


My Episode

ぼくの好きな香りは重い香りが圧倒的に多い。
このブログでも散々ご紹介しているウード系の香水を始めとして、アンバーやパチョリ、レザーといった、ラストノートで使われることの多い香料を好む傾向にある。
しかし、時々、そんなぼくでも、そういった重い香りがどうしても鼻についてしまうことがある。いわゆる香り疲れのようなもの。
あまりにも重い香りばかりを纏い過ぎて、今日はもう何もつけたない!って思ってしまうんである。
でも、香水好きとして、何もつけないというのは、まずありえない。
外に出かけるときは、香りで武装しているようなもんだから、無臭で外に出ると全裸で街を歩いているような気持ちになる。
「今日は香水を色々と試すぞ!」というような時は、できるだけ香水をつけないようにして出かけるのだが、そうなると全裸で外出しているような錯覚に陥って、「もう、早くなんでもいいからふりかけてちょうだい!」という気持ちで香水売り場に駆け込むこともしばしば。
それほどまでに常に香りに包まれたいと思っているので、香り疲れをしていても、何かしらの香りを求めてしまうのが、香水好きの性(サガと読むのだよ)。
今日ご紹介する「ミュール・エ・ムスク」はぼくにとってはまさにそんな香りだ。
この香りは1978年にリリースされたのだが、ラルチザンの始まりの香りでもあり、ラルチザンを代表する香りだ。
考えてみたら、1978年というのは、ぼくが生まれて10年後。そんな古い香りなんだ!とびっくりしてしまう。
だって、そんな古さをまったく感じさせないんだもの。
ホワイトムスクと、ブラックベリーを絡めた、当時としては画期的な香水で、この香水が誕生した時は香水業界で話題になったという名香でもある。
個人的にはこの香りは積極的につけることはない。
ぼくにとっては軽すぎるから。
ぼくの好きな要素があまり入っていないというのもある。
ただ、だからといって、この香りを無視することは到底できない。
好みじゃないけど、この香りが人を惹きつけてやまない理由が良くわかるから。
香水にあまりなじみのない人でも、この香りは受け入れられるんじゃないかという良さがある。
それは好みに左右されるものではない。
だから、ぼくはこれからも(出番は少ないものの)、この香りを大切にしたいと思うし、時にはこの香りを纏って鼻腔に休息を与えたい。
そして、重い香りばかり吸い込んでいる鼻腔をリフレッシュさせたい。
瑞々しいブラックベリーの香りはまさにそんな役割を果たしてくれるような気がする。


Note

Top notes: Basil, Amalfi Lemon, Mandarin Orange, Orange
Middle notes: Blackberry, Red Berries
Base notes: Musk, Oakmoss

とにかく、トップからみずみずしさやフルーティーさが香り立つ。そして、だんだんとそこにムスクとオークモスの香りが絡んで、肌に馴染んでくる。そこから石鹸のような香りが漂ってくるところがこの香りの魅力であろう。ぼくは石鹸っぽい香りは苦手だけれども、ぎりぎりのところでぼくの鼻はこの香りを受け入れることができる。
これはぜひ、香水になじみのない人たちに試してもらいたい香りだ。

My Evalution

★★★★

この香りはラルチザンのシンボル的香りというだけあり、好みとは別に高評価を付けたくなる。たまにはそういう香りがあっても良いでしょ?