第180夜 Black Amber

黒の誘惑

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DATA

Name: Black Amber
Brand: Agonist
Lauched in unknown
Perfumer: unknown

My Episode

香水好きの人だったら、「アンバー」という香料の名前は何度も耳にするし、すぐにどんな香りなのかを鼻の奥で再現できるだろう。
しかし、このアンバーというのは、実に厄介な香料なのだ。
例えば、これが「ベルガモット」だとか「サンダルウッド」だとか「ローズ」だったら、説明は簡単だ。なぜなら、原材料の名前がそのまま香料の名前になっているから。
しかし、「アンバー」に関しては、ちょっと様子が違ってくる。
アンバーとは琥珀のことなのだが、琥珀は匂いがしないので、香料をそのまま琥珀から採るということができないのである。
じゃあ、アンバーって何よ?という話になるのだが、琥珀の黄金の輝きのような色と輝きをイメージした香りなのだ。
って言っても、それって具体的にどうなのよ?
と正直思ってしまう。
つまり、「アンバー」というのは、調香師によって、解釈がそれぞれまったく違うものだから、非常に厄介なのだ。
ぼくは、ラルチザンの「アンバーエクストリーム」にひと鼻惚れしてニッチフレグランスの存在を知り、それからアンバー系の香水はかなり意識して集めるようになった。
そのぼくが何となく解釈しているアンバーの香りとは、簡単に言うと「煙たい甘さ」である。
たいていのアンバー系の香水というのは、かなり甘めだ。しかし、糖分の甘さではない、ベタベタしていないのだ。
もっとスモーキー。それこそお香のような香りがアンバーなのではないだろうか。
今日ご紹介する「ブラック・アンバー」もそんなお香のような香りだ。
この香水は昨年、銀座のノーズショップで購入したのだが、実はちょうどそのころアゴニストのノーズショップでの取り扱いがなくなるという情報が入った直後のことだった。
在庫がなかなかなくて、最後の一本を何とか確保することができたのだ。
すでにアゴニストの香水はウード系のものを購入していたのだが、このアンバーも非常に良くて手に入れたいと思ったのである。
このブラックアンバーの大きな特徴は、甘さがとても強いこと。
インセンスの煙たさもあるのだが、かなり甘めのインセンスという感じ。
夏につけると、その甘さがちょっと too much と感じられるかもしれない。
だが、それだからこそ、冬に美しく香るのである。
寒さに触れることで、よりインセンス感が出て、甘さが少し引き締められ、程よくスモーキーとスウィートがブレンドされるのだ。
最後の一本、無事にお迎えできて嬉しい。

Note

Top notes: Incense, Spanish Labdanum, Seaweed, Davana
Middle notes: Incense, Cypriol Oil or Nagarmotha, Cedar, Java vetiver oil, Tobacco blossom
Base notes: Ambergris, Styrax, Patchouli, Madagascar Vanilla, Sandalwood

トップノートとミドルノートにインセンスが入っていることから、この香りの煙たさ加減が良くわかるだろう。さらにラストにサンダルウッドで煙たさのとどめが入る。だから、煙たいのが苦手な人にはあまりお勧めできない。

My Evalution

★★★★

夏につけると、ちょっと甘さがきになってしまうが、秋から冬にかけて美しく香るのでその点が評価のポイントになる。

ところで、このAgonistも、昨日ご紹介したStora Skugganもスウェーデンのブランドで、これからこのあたりの国も魅力的なコンセプトの香りを出してくれるんじゃないかと期待している。