第179夜 Silphium
アロマティックな香りからスパイシーウッディーへ
DATA
Name: Silphium
Brand: Stora Skuggan
Lauched in 2017
Perfumer: Olle Hemmendorff and Tomas Hempel
30ml ¥20,350
My Episode
昨日ご紹介したNOSE SHOPで開催されていたKORIUMのイベントは、言葉と香りを融合させた画期的なイベントで、とても楽しかった。
香りというのは目に見えないものだけに、視覚的に訴えるのはとても難しい。結局ボトルやパッケージのデザインから香りを想像することしかできない。
そんな時に頼りになるのは、やはり「言葉」である。
その香りがどんな香りなのか、どんな背景があるのか、どういうストーリーがその香りには秘められているのか。
そういったことを色々と調べ、そこから自分の嗅覚に蓄積された記憶を辿り、香りの妄想をする。
なんて、高尚な楽しみなのだろう!
そんな香りと言葉を融合させたKAORIUMを二度目に試した時、ぼくは「自分が好きな香り」というのを試したのだが、その結果導き出された香りは
BDK Parfums「ウードアブラマド」
Stora Skuggan「シムフィム」
LABORATORIO OLFATTIVOの「アルケミ」
の3本だった。
当然といえば当然なのだが、その時すでにぼくは「ウードアブラマド」と「シムフィム」は持っていた。
「アルケミ」は前回「気になる香り」というテーマでも導かれた香りで、持っていなかったので、その時は「アルケミ」を購入した。
「ウードアブラマド」は、大好きな香りだったし、昨年初めて新宿のNOSE SHOPに行った時にお迎えした香りだったので、香りを試している時から「これ、ウードアブラマドでしょ?」ってわかってしまうくらいだったのだが、「シムフィム」に関してはまだそれほどじっくりと香りと向き合っていなかったので、試している間は気づかないでいた。
でも、改めてこの「シムフィム」を肌に載せてみると、なるほど、ぼくが好きになるのも当然だよな、と納得できるのだ。
トップは非常にハーバルでアロマティックなのだが、だんだんとそこからスパイスが効いてきて、体温に温められると、たちまちウッディーな香りが顔をのぞかせる。
この香りは恐らく冬と夏ではまったく香り方が変わってくるだろう。
恐らく冬はハーバルな面が前面に出てくるのではないかと推察される。
温度が高まることで、別の面が出てくるという非常に魅力的な香りなんである。
ところで、この香りのストーリーはとても面白い。
NOSE SHOPの公式サイトでは次のように説明されている。
その昔、最も価値あるスパイスとして栄華を誇った古代植物シルフィム。人の手による栽培は叶うことなく、遂には絶滅するまで採取し尽くされた。この歴史的薬草の末裔を辿り、現代に再現する。
こんな不思議な香りの植物があったなんて!という驚きと、それを再現してしまったというミステリアスなところも魅力だ。
Note
Top notes: Labdanum
Middle notes: Ginger, Geranium, Black Pepper, Clove, Cinnamon, Tobacco
Base notes: Olibanum, Cedar, Myrhh, Leather
あぁ、やっぱり…。
クローブやブラックペッパー、そしてシナモンとタバコといった、もう僕の好きな香料オンパレード。結局ぼくはこのスパイスからは逃れられないんじゃないだろうか。
逃げる気は全然ないけど。
My Evalution
★★★★
他の香りと比べると、好きの度合いが少しだけ低め(実はアロマティックな香りがそれほど好きというわけではない。嫌いではないのだが)だが、非常に良い香りだ。ただ、30mlで2万円以上という強気の値段で、ちょっとそこが躊躇してしまう人も多いかもしれない。