第306夜 Extrait Noir 

優しいインセンスの煙に包まれて

 

DATA

Name:Extrait Noir (エクストレノアール)
Brand:Elisire(エリザイア)
Lauched in 2021
Perfumer: Pierre Negrin
30ml ¥30,800

My Episode

NOSE SHOPが6月に一部商品を値上げすることを知った時、ぼくはそれまでずっと保留にしていた香水をまとめ買いをした。調べてみたら、8万円分ぐらいの出費を抑えることができたのだが、この「エクストレノアール」もそんな香水の中の一本だ。
だが、当初この香水を迎える予定はなかった。ただ、このエリザイアは他の香水も持っていて知っていたし、真っ黒なボトルと持ちやすい大きさについつい惹かれて、試してしまったのだ。
ぼくの場合、とにかく重い香りが好きということもあり、黒いボトルのシリーズは比較的重めだという勝手な印象を持っており、ついつい試したくなるのだ。もちろん、その「重い」にはぼくの苦手な「重い」もあり、例えばグリーン系の重さだったり、オゾニックでメタリックな印象を持つ重さだったり、甘さがまったく感じられないアニマリックなだけのレザーだったりすると、そっとそのボトルを棚に戻してしまう。
しかし、だいたいの香水は「好き」とまではいかないとしても、許容範囲であることが多い。
さて、この「エクストレノアール」はどうかというと、ぼくの好きなタイプの重め香水だった。しかも、甘めのスパイスもしっかりと感じられるし、肌に載せた時に、毛穴にしっかりと香りが定着する感じがたまらなく良いのだ。
ぼくの肌は少し特殊な肌で合わない香りはすべて毛穴の中に吸収されてしまうのか、香りがほとんど残らないものもある。しかし、重い香りだと、毛穴に残り、毛穴からまるでもともとの肌がそういう香りを放つのではないかと錯覚してしまうほどに香るのだ。
そして、この「エクストレノアール」もそんなしっかり香る香水だった。
トップはフレッシュな甘さを感じ、じょじょにスパイスが香ってくるのだが、そのベースにあるのは甘い香りだ。スパイシーなだけではなく、甘さも感じられるのは恐らくシナモンが効いているからだろう。
そこから今度はだんだんとクリーミーに変化していく。その過程が面白い。クリーミーといっても、サンダルウッドに時々感じられるグリーンな香りではなく、もっとまろやかでハーバルな香りだ。
そして、サフランのピリッと感がそのクリーミーな香りに載ってくる。
さらに時間が経つと、今度はレザーのような少しアニマリックな香りもしてきて、かなり複雑な香りの構成を楽しめる。

NOTES

Top notes:Thyme, Ginger, Eucalyptus, Camphor
Middle:Ceylon Cinnamon, Lavender, Patchouli, Saffron, Geranium
Base: Woody Notes, Leather, Benzoin, Castoreum, Vanilla

甘さを構成しているのは、ヴァニラやシナモン、そしてスパイスを構成しているのはジンジャーやサフラン、そして甘さを備えたシナモン…というようにこのNOTESからも香りは想像できる。スパイス中心ではなく、まったりとした甘さ中心の香り。

My Evalution

★★★★

甘くて少し煙い香りが欲しい時にはこちらの香水はおすすめだ。甘いだけじゃなくて、ちょっとひねりを効かせたい時とかに面白いだろう。またラストの方のレザーをいかして、レザージャケットなどを着る時の下に纏うのも面白いかもしれない。