第300夜 Sacreste

神聖な場所に聳えたつ木の香り

 

DATA

Name:Sacreste(Sacreste)
Brand:Laboratorio Olfattivo(ラボラトリオ オルファティーボ) 
Lauched in 2019
Perfumer: Luca Maffei
30ml ¥12,100

My Episode

なんで今までこの香りを買わなかったの?と過去の自分にびっくりしてしまうことがある。でも、よくよく考えてみると、香水との出会いというのは、タイミングなのである。
例えば、その時は良いと思って買っても、しばらくしてから久々にかいでみると「あれ?こんな香りだったっけ?」と拍子抜けしてしまうことも往々にしてある。
そして、その逆もまたしかり。
この「サクレステ」に関しては、まさに後者で、今までこの香りに気づかなかった自分を呪ってしまったほど。
多分、どの香水屋さんでもそうなのだが、ぼくはとにかく「重くて変な香り」を中心に試してしまう傾向にある。店員さんと話をする時も「ウードみたいな重くて個性的な香り」というのも伝えるようにしている。
でも、それだと、どうしても取りこぼしてしまう香りもあるようなのだ。例えば、アンバー系の香りとかレザー系の香りとかだと、ウードと近いのでヒットすることが多いのだが、そうじゃない香りにもぼく好みの香りはたくさんあるのだ。
さて、「サクレステ」も夏の値上げ前の駆け込みの際に気になるブランドをかたっぱしから試して鼻腔にヒットした香りなのだが、値上げ情報がなかったら、ひょっとしたら試しもせずにスルーしていたかもしれないと思うと、ちょっと怖くなってしまう。
この「サクレステ」のどこが良いのかというと、神聖な木を燻したような香りがするからだ。それもアンバー系の重たい甘ったるい煙たさとは対極にある。甘さゼロではないのだが、その甘さがべったりとした甘さじゃなくて、もっと渇いた甘さなんである。まさに煙の中に甘さを感じる感じかな。アンバーにも煙たさと甘さがあるが、この「サクレステ」は同じ煙たさでも甘さの質がまったく違う。
そして、ぼくがこの香りを肌に載せてまっさきに思い出したのがホワイトセージの香りだ。ぼくは占いやスピリチュアルなことにも興味があり、家でも時々ホワイトセージを焚く(ホワイトセージには空気を浄化する作用があると言われている)のだが、その香りに非常に近しい。
ちょっと独特の香りなのだ。
アニマリックな感じもするし、癖もある。その癖をこの香りから感じた。でも、ホワイトセージは香料の一覧には履いていないので、ひょっとしたら別の要因でこの香りに近い感覚があるのかもしれない。
ともあれ、これは夏でも冬でも、癒されたい時に使いたいと思う。

NOTES

Top notes:Elemi, Labdanum, Cardamom, Saffron
Middle notes:Incense, resins, Black Pepper, Cypriol Oil or Nagarmotha
Base notes:Guaiac Wood, Virginia Cedar, Amber, Cashmeran, Musk

トップノートにサフランが入っているが、スパイシー感はあまりない。むしろミドルからのインセンスが強く感じられる。香料を見ただけではどんな香りか想像つかない


My Evalution

★★★★★

このレビューを書くために調べていてわかったのだが、調香師はなんと、ぼくの大好きなルカ・マッフェイ!FRAGRANTICAで彼の写真を見て、そのイケメンっぷりにすっかり魅了されてしまったのだが、彼の生み出す香水は何度もぼくの鼻腔をメロメロにしてくれて、彼の香水はできるだけたくさん試して、何度も何度もメロメロにしてほしいと思っている。
彼は例えば、ペリスモンテカルロのウードインペリアルといった華やかで個性的な香りも作るが、こんなに静かで神聖な香りも作るんだ!と驚いている。