第230夜 Ambra 

甘くてスモーキーで深くて芳しい香り

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DATA

Name:Ambra (アンブラ)
Brand:Le Couvent Maison de Parfum(クヴォン・デ・ミニム)
Lauched in 2021
Perfumer:  Jean-Claude Ellena
100ml ¥23,760

My Episode

ぼくが調香師のことを意識するようになった最初の人物とは、ジャン・クロード・エレナである。
何度かこのブログでも書いているのだが、10年ほど前に伊勢丹の香水売り場でラルチザン・パフュームの「アンバー・エクストリーム」からぼくの香水ライフが一変した。
その香水を手掛けたのがエレナだったのである。
ラルチザン・パフュームは珍しく、ほとんどの香水の調香師の名前を明かしていたので、それもまた調香師に注目ならぬ注鼻するようになったきっかけである。
だから、エレナが手掛ける香水はそれからもずっと気にしているし、必ず試すことにしている。
数年前の伊勢丹新宿店でのサロンド・パルファンという一年に一度の香りの祭典で、このブランドのことを初めて知ったのだが、なんと、エレナが監修した香りがあるというので、ぼくは嬉しくなり、その時から何本かの香水を買っている。
そんなクヴォンデミニムからエレナが直接手掛けた香水が新作として出るというので、昨年のサロンド・パルファンで早速試したのである。
彼が直接クリエイトしたというのがシグナチャーコレクションというもの。
このコレクションについて公式サイトには次のように説明されている。

 

  

  “冬の終わりから秋の到来まで、移り行く季節の中で、私は庭に咲く花々の香りに「耳を傾ける」時間を楽しんでいます。
    それは、その香りに注目するのではなく、また、その香りが何であるかというわけではなく、その香りが私に何を語るか、その香りから何が聞こえてくるのかという事です。人との時間を大切にするには、耳を傾けることに以外に勝る方法はありません。
    面白いことに、イタリア語で ’’to listen(聞く)’’ を意味する動詞 ’’sentire’’ は、フランス語で’’to smell(嗅ぐ)’’を意味する’’sentir’’を連想させるのです。 ” 

ジャン=クロード・エレナ

 

(クヴォンデミニム日本公式サイトより)

 

自然を愛するエレナならではの言葉だなと思ったのですが、日本人の中にもそういう感性というのは残っていると思うので、フランス人と日本人って、そこでシンパシーを感じ合えるんじゃないかって勝手に彼のこの言葉を読みながら思った。

さて、このアンブラですが、もうね、本当に素晴らしいのである。一発でぼくの鼻はこの香りが好きになった。いわゆる一鼻惚れっていうやつね。
だって、甘くてあったかいんだもん。そして、スモーキー。
でも、その感じが、彼の手掛けたラルチの「アンバーエクストリーム」とはまったく違う。
「アンバーエクストリーム」はどちらかと言うと、お香要素が強くて、あら?今お寺の前通りかかった?的な感覚に陥るのだが、こちらのクヴォンデミニムの「アンブラ」はお香感はそれほど強く感じない

でも甘くてスモーキーなのに…。もう少しお酒に近い感じ。ラム酒とかウィスキーとかそういう滑らかさのようなものも感じられて、そこがこの香りの大きな特徴といえる。

NOTES

Top note:Bergamot
Middle note:Immortelle
Base note:Labdanum

明かされている香料はこの3つだけなのだが、恐らくかなりシンプルな作りなのだと思う。
それでもこれだけの濃厚でどっしりとした香りを作るってすごいなぁ。

My Evalution

★★★★★
これもまた、間違いなく五つ星だ。
ぼくの鼻にフィットするだけじゃなくて、自信を持って、いろんな人におすすめできる香りという意味でも。
香水が好きな人には、ぜひともこのぐらいの深い香りとじっくりと向き合って欲しい。