第273夜 Intense Pepper

トップが去るまで待って!

 

DATA

Name:Intense Pepper(アントンスペッパー)
Brand:Montale(モンタル)
Lauched in 2014
Perfumer: Pierre Montale
50ml ¥14,300

My Episode

ウードの香りは重い、というのが一般的な認識だし、ぼくもそういうウードの香りが大好きなのだが、そういう先入観を持っていると、肩透かしを食わされることがたまにある。
ウードが入っているからといって、全部が全部重いというわけではないのだ。中には、あれ?本当にウード、入っている?何かの間違えじゃない?と疑ってしまうことも。
この「Intense Pepper」も最初に肌に載せた時はそんな感じがした。あれ?これさ、ウード入っているっていうけど、どう鼻をうごめかしても柑橘系の香りしかしないんですけど?と調香師のピエールの鼻に突っ込みを入れたくなるほどウード感がしない。
さらに言うと実はペッパー感もそれほど強くない。香水の名前を直訳すると「強烈なペッパー」となるのだが、そんなに強烈か?誇張し過ぎじゃね?JARO案件か?と疑ってしまうほど。
だが、不思議なことに、肌に載せてしばらくすると、だんだんと印象が変わってくる。トップに感じられた柑橘系の香りはすぐに肌の上で温められて柔らかく丸みを帯び、その次に顔を出すのがかすかなペッパーの香りだ。ただ、「Intense(強烈な)」というほどではない。そして、そこからウードっぽい深みのある香りが出てくる。
あぁ、なるほど、ここでウードがこう出てきたか?という感じなのである。トップの柑橘系やミドルのペッパーを残しながらも、そこにウードが重なると、非常に落ち着いた、そして静かなウッディな香りになる。これは意外性もあって楽しい。
夏になるとどうこれが変化するのか楽しみではあるが、まだ少し肌寒い日もある時期はとても軽やかにウードを楽しめるのではないだろうか。

 

NOTES

Top notes:Black Pepper, Sicilian Lemon, Pink Pepper
Middle note:Floral Notes
Base notes:Cedar, Agarwood (Oud), White Musk, Oakmoss, Amber

ミドルノートがフラワーノートになっているが、そんなにがつんとフェミニンな感じがしなくて、ラストのシダーやウード、オークモスといったウッディな香りがアンバーの甘さとともに香り立つところが素晴らしい。

My Evalution

★★★★★
これはモンタルの中でもぼくの鼻に非常にヒットする香り。トップの柑橘系だけがどうしても受け入れられないのだが、それさえ我慢しちゃえば、もうあとはウッディに変化するだけで、実は香水というのは、そこからの香りが長いので、そのウッディさを楽しみたい。