第332夜 D'Humeur Massacrante

燻されスパイス、ここに極めり

 

DATA

Name: D'Humeur Massacrante
Brand:L'Artisan Parfumeur(ラルチザン パフューム)
Lauched in 1997
Perfumer:Olivia Giacobetti
日本販売終了


My Episode

ぼくがラルチザン・パフュームのことを知ったのは2012年の秋のこと。それからすっかりこのブランドの虜になり、それを皮切りにニッチフレグランスに注目ならぬ注鼻するようになった。
だから、このブログだって、あの時伊勢丹のフレグランスコーナーでアンバーエキストリームに出会わなければ、この「千夜一夜物語」だって存在しなかったわけで、ぼくにとってラルチザン・パフュームは人生に大きな影響を与えたフレグランスブランドだと言って過言ではないだろう。
でも、ラルチザン・パフュームはその時にはすでに日本に上陸していて、表参道にも路面店があった。
日本初上陸はその数年前で、当時は原宿のベルコモンズの中にお店があったらしい。
ぼくがラルチザン・パフュームの表参道店に通うようになったのは、2013年の5月30日からで、閉店する2015年の7月20日までの、たった2年。
だから、その前に日本で限定発売されたラルチザン・パフュームの香水に関してはほとんど知識がない状況だった。
でも、その2年の間に復刻香水が出たり、日本で廃盤になった香水が再発されたりするなどして、少しずつ過去の香りを集め始めた。
それでも、どうしても手に入らない香りに関しては、ネットを駆使して集めるようになった。
そこでぼくが手に入れたのがオリビア・ジャコベティが手掛けた「Les Sautes d'Humeur」というコレクション。「Les Sautes d'Humeur」とは「気分のむら」という意味で、様々な気分を元にオリビアがクリエイトしたシリーズのようだ。
ぼくが持っているのは15mlの5本セット。
実は2014年のクリスマスの時期、表参道店の景品かなにかで、このシリーズの中の1本があたり、プレゼントされてからこのコレクションの存在を知り、どうしても全種類試したくて、必死になって探し当てたものなのである。
さて、その中の一本「D'Humeur Massacrante」は日本語に訳すると「ひどい気分で」という意味になる。
よくもまぁ、そんな名前の香りを作るなぁ!とびっくりしてしまうのだが、そこがこのブランドの面白いところだろう。
ではその「ひどい気分」というのは、本当にひどいのか?と恐る恐る肌の上に載せてみると、非常にスモーキー。
いや、スモーキーなんてもんじゃない。
焚火を肌の上に載せたような香りなのだ。
もう、びっくり!とにかく燻され感半端ない。
さらにそこにシナモンやペッパーなどのスパイスがしっかりと載る。
かさかさに乾燥しているので、火を付けたら一気に燃え上がりそう。
でもね、ぼくはとても好きだ。こういう香り。
乾燥しているから、夏の湿度の高い時でも、しっかりと暑さをやわらげてくれるような気もするし。
もちろん、冬のキーンとした冷たい空気の中でも、この香りの独特の世界を楽しめるだろう。「ひどい気分」を浄化させるそんな香りだと思う。


NOTES

Top note:Pepper
Middle note:Cinnamon
Base notes:Sandalwood ,Vetiver

FRAGRANTICAで明かされている香料は実にシンプル。
もちろん、これだけではないとは思うが、でも、シンプルだからこそ、こういう凛とした香りが作れるんじゃないかという気がする。


My Evalution

★★★★

久々に、このブログを書くために試したのは、なんせ、15mlしかないからもったいなくて使えないから。でも、使わなきゃ意味がないので、これからの季節、そして夏にもどんどん使っていきたいと思っている。この香りをつけた時に見える世界をたっぷりと楽しみたい。