第375夜 Citrus Batikanga

奇抜なシトラス歓喜の叫び

 

DATA

Name: Citrus Batikanga
Brand:Maison Crivelli
Lauched in 2019
Perfumer:Bertrand Duchaufour


My Episode

2022年の秋に新宿の伊勢丹で開催されたサロンドパルファンは、連日通い詰めたのであるが、いつも行列をなしていたブランドがいくつかある。その一つがメゾン・クリヴェリだ。日本初上陸ということもあったし、メゾンの創始者であるクリヴェリ氏も来日していたということもあり、常に賑わっていた。
そして、やはり香り自体、魅力的なものも多く、そんなことも相まって、人気が高かったのであろう。
でも、初日からあまりにも行列していたので、ぼくはスルーしていたのだが、たまたまそのブースの前を通りかかった時に接客中のスタッフが「こちらの香りはベルトラン・ドゥショフールという調香師の方が調香されて…」というのを耳にして、ぼくの鼻は完全に4倍大きくなったと思う。ちょっと!行列が長いなんて言ってる場合じゃない!並ばなきゃ!となり、慌てて、行列の最後尾についたんである。
そして、いよいよ自分の番になった時にぼくはまっさきにスタッフの方に「先ほどベルトラン・ドゥショフールが手掛けたって耳にしたんですけど」と言ったら、少し驚いた顔をして、2種類の香りを出してくれた。「Fleur Diamantine」と「Citrus Batikanga」だ。
「Fleur Diamantine」の方はぼくの苦手なグリーンが強い感じの香水で、しかも、え?これ、本当にベルトランなの?ありがちな普通のグリーン系香水じゃない?と思ってしまって、正直、拍子抜けしてしまった。
だから、実は次のシトラスもそんなに期待しなかったんである。ベルトラン、時々つまんない香水作るんだよねぇ、と心の中で毒づきながらもう一本をムエットで試してみたら。
これがもう、びっくりなんである。
本当に叫んで良いのであればその場で叫びたかった。
「なんなの!これ!!!!」である。
確かにシトラスの香りなのに、すごく影があって、他のどのシトラスとも違う。これぞまさしく鬼才と呼ばれるベルトランにしか作れないシトラスなんじゃないだろうか。
そうよ!ベルトラン!ぼくはこういうのを待っていたのよ!とついさっきまでの悪態はどこへやら…。
なんかもう、本当にすごい。
これは文句なしの名香水ですよ。
夏でも冬でも使えるし、どんなシチュエーションにもまといたい。
もしこれをリピートできるんだったら、毎日のように浴びたいほどぼくはこのシトラスが好きだ。
いや、これはシトラスではないな。
シトラス好きな人にはちょっと「ん?」と鼻がへそを曲げてしまうかもしれない。
でも、シトラスみはありながらも、しっかりとスモーキだったり、ウッディだったりする部分を前面に出しているところが、この香りのすごいところ。
あぁ、追加購入しておくべきだったかなぁとちょっと後悔しているが、日本での正式発売を待つことにしよう。

NOTES

Top notes:Bergamot, Cardamom
Middle notes:Chili Pepper, Pomelo, Rhubarb
Base notes:Vetiver, Myrrh, Fenugreek

シトラス要素はベルガモットのみで、あとは非常にウッディだったり、渋系香料だったりして、この香りは本当にすごいなぁ。

My Evalution

★★★★★
文句なしの星5である。ベルトランらしい香りを探している人は、これはぜひ試して欲しい。最近ではドルセーで作った「恋人同士」も素晴らしかったが、この香りもまた最高傑作と言って良いだろう。