第194夜 Shalimar Eau de Parfum

オリエンタルの原点

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DATA

Name: Shalimar Eau de Parfum (シャリマーオーデパルファン)
Brand: Guerlain
Lauched in 1990
Perfumer: Jacques Guerlain
50ml ¥11,330

My Episode

好きな香りのタイプはどんな香り?と聞かれて、ぼくはウードの香りと答えることが多いのだが、その他にウッディ系、あるいはオリエンタル系というのも好きな香りのタイプとして挙げることが多い。
ぼくにとって、オリエンタルというのは子どもの頃からずっと憧れだった。
アメリカ好きで若い頃はアメリカの大統領になりたいと豪語していた変わり者の父のせいで、ぼくはアメリカに対して非常に複雑な気持ちを抱いている。憧れの気持ちと反発の気持ちだ。
「チャーリーズエンジェル」や「ビバリーヒルズ青春白書」といったアメリカのテレビドラマを夢中で見ながらも、なんでもかんでもアメリカ志向、欧米志向の風潮に反発しているところがあった。
そんなぼくが憧れたのが「オリエンタル」だったのだ。
特に大学時代はオリエンタルという言葉に強烈に惹かれた。
自分は西洋から見たオリエンタルであるアジアの国に生まれ育ったというのに、そのオリエンタルに憧れていたのだ。
つまり、西洋人がオリエンタルをどのように捉えていたのか、がずっと気になっていた。
だから、香りのタイプの中に「オリエンタル」というのがあると知って、猛烈ビュティホーに鼻がヒクヒクとうごめいてしまうのだ。
そんな「オリエンタル」の原点ともいえるのがゲランの「シャリマー」だ。
しかし、何度も書いているように「ゲラン」=「ミツコ」=おふくろの香り=森進一という図式が成り立っているものだから、なかなか手が出せなかった。
しかし、ここは、きちんと向き合う必要があると思い、GINZA SIXのゲランブティックに香水好きの友人たちと行った時に、思い切って「シャリマー」を購入したのである。
ムエットで試した時、ぼくは正直、どこがどうオリエンタルなのか、良くわからなかった。しかし、肌に載せてみて、オリエンタルらしさ、というものを感じることができ、さらに購入してじっくりと付き合ってみて、やっと納得することができた。
ゲランなので、どうしてもクラシカルというイメージはぬぐえない。そりゃそうだ、だって、1990年の作品(パルファンの方は1925年!)だし、ゲランだし。
しかし、クラシカルにもかかわらず、ずっと今でも多くの人に愛用されているだけのことはあり、安定の美しさを感じることができた。
だが、これはムエットだけでは決して感じられないし、さらにいうと、店頭でさっと纏っただけでもわからない。
じっくりと肌に載せて、落ち着いて向き合って、やっとオリエンタルの扉が開かれる、そんな感じがする。
とにかくゴージャス。
インドの王様と王妃の情熱的な愛の物語を基に作られたというこの香りの名前は「愛の宮殿」を意味するサンスクリット語
もう、それだけでくらくらする。
そして、その宮殿の扉が開かれるのは、肌に載せてしばらくたってから。
最初はシトラス系の香りが立つのだが、すぐにそれはひっそりとなりを潜め、ぼくの肌の上ではお香のようなスモーキーな香りが出てくる。
実はこの香りを購入したのは夏の暑い時期だったのだが、その頃は実はこの香りの良さがわからなかった。
秋になり、改めて肌に載せたら、急に香りが引き締まり、美しく感じられるようになったんである。
あぁ、これよ、これ。
このスモーキーな雰囲気はたまらない。
そんな感じがして、改めて、ゲランすごい!ってなっている。

Notes

Top notes: Citruses, Bergamot, Lemon, Cedar, Mandarin Orange
Middle notes: Iris, Patchouli, Vetiver, Jasmine, Rose
Base notes: Incense, Vanilla, Leather, Opoponax, Sandalwood, Civet, Tonka Bean, Musk

改めて香料を見てぼくは納得した。大好きな香りが勢ぞろい。パチョリにインセンス、ヴァニラ、レザー、トンカビーン。スウィート&スモーキー好きなぼくにはぴったりだ。

My Evalution

★★★★

この香り、秋冬の間に仲良くなれば、きっと夏の夜にも纏えるようになる気がする。それこそ艶めかしい夜を演出する時なんかに、この香りはとても有効的かも。好きな男と一緒に過ごす夜に、この香りがしたら最高じゃない?でも、その時はパルファンの方をこっそりと使いたいな。