第131夜 Cri Du Kalahari

除湿効果抜群の乾いた香り

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DATA

Name:Cri Du Kalahari (クリ・ド・カラハリ カラハリの叫び)
Brand:Ella K Parfums
Lauched in 2019
Perfumer:Sonia Constant
70ml ¥28,600

My Episode

最近、香水売り場に行くと、自分の好みがあまりにもはっきりしすぎていて、自分でも笑ってしまうほど。
まず、柑橘系の香りはパス。中途半端なフラワリーな香りも苦手、さらに苦みのあるグリーンは生理的に受け付けない。オゾンの香りもNG。
ここまで潔いと選ぶ時に迷わない。
自分の鼻の忠実さに自分でも呆れてしまうほど。
ただ、そうなると香りの幅というのが狭まってしまうのではないかと自問自答することもある。
せっかく冒険したいと思っても、その冒険ができなくなっているのではないか?と不安になるのだ。
だが、ここまで好みがはっきりとしながらも、それを突き詰めていくと、今度ははっきりとした好みの中で幅が生まれているということに気づく。
例えば、ウード系の香りを例にとってみると、ウード系の香りの中にも甘めウードがあると思えば、アニマル系ウードもあり、その両者の間は非常にかけ離れているし、その間に存在するウード系香水もたくさんある。
そう思ったら、好みを追求するのも悪くはないんじゃないかっていう気がして、半ば開き直っている。
さて、今日ご紹介する香りも、そんな好みを追求した中でも振り幅の大きな香りの一つである。
ぼくの好きな香りの要素の中にスモーキーな香りというのがある。まるで煙でいぶしたような雰囲気の香りが好きなのだ。お香を焚いたような感じの香り。この「カラハリの叫び」はまさにそんなお香を思わせる香りだ。
だが、そのスモーキーな香りの中にもいろんな種類があって、辛みのあるスパイシースモーキーな香り、単に煙たいだけの静かな香りなどもある。そしてこの「カラハリの叫び」はどちらかというと甘めスモーキーな香りだ。
甘めスモーキーで思い浮かべるのが、トムフォードの「タバコバニラ」やディプティックの「ウードパラオ」だ。

 

1001perfumenights.hatenadiary.jp

  

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 どちらにもバニラが入っていて、どちらかというとグルマンな甘さが際立つ。しかし、「カラハリの叫び」は糖分ゼロな甘さなのである。グルマン系が好きな人にはちょっと物足りないかもしれない。
この甘さはどこから来るのだろうかと明かされている香料を見ると、サンダルウッドが唯一甘さの原因ではないかと推察される。そして、このべたつかない煙たさの効用として一番に挙げられるのは、除湿効果。
とにかく湿気をどんどん吸ってくれる感じがするのである。
少し前までぼくはこういう煙たい香りというのは、柔らかい雰囲気に包まれるので冬限定の香りだと思っていた。例えばディプティクの「タムダオ」だとか、ラルチザンの「ボアファリヌ」といった香りはまさにそういうイメージ。冬の寒い時期に毛糸にくるまれているようなあたたかさを感じる香りという風に認識していた。
ところが、最近その煙たさを夏の湿度のある時にまとうと、今度は湿度を下げてくれるような気がし始めた。
それに気づいたのが昨年ぐらいからで、今年は夏にこういう煙たい香りを付けたらどうなるか、ということを人体実験したいと思っている。
果たしてどこまで除湿してくれるだろうか。すごく楽しみだ。


NOTES

Baobab,Green Pepper,Woody Notes. Sandalwood, Cedar, Patchouli, Olibanum

FRAGRANTICAには詳しい香料が載っていなかったので、こちらの情報は日本の公式サイトを基にまとめてみた。
これを見る限りでは、この乾いた甘さはサンダルウッドによるものなのかなという感じがする。

 

My Evalution

★★★★

この香りは何度も何度も試して、購入を決めた。除湿効果を狙って暑くなる前にお迎えすることができたので、これからきっともっと向き合うことになるだろう。今のところ香りの評価は星4だが、これから少し評価が変わってくるかもしれない。それを楽しみに向き合いたいと思っている。