第220夜 Karagoz

まさかの展開!フルーティーなウード

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DATA

Name:Karagoz (カラギョズ)
Brand:NISHANE(ニシャネ)
Lauched in 2017
Perfumer:  Jorge Lee
50ml ¥30,800

My Episode

晴天の霹靂、とはまさにこのことだ。
まさか、このぼくがカラギョズを買うことになるなんて!
年末に買った香水なのだが、自分でもまさかの展開に驚いているほど。
この香りを初めて試したのは、2021年の夏のことだ。
ウードを巡る旅をしているぼくはとにかく念仏のように「ウード、ウード」と言いながら香水店を巡るのであるが、NOSE SHOPの銀座店でも同様にウードを探していて、そんな中で出会ったのがニシャネのこの「カラギョズ」だった。黒いボトルが非常に印象的で、しかもトルコの影絵芝居をモチーフにしているというその背景にも惹かれた。
しかも、これはウードが入っているというので、否が応でも期待に鼻の穴が膨らむ。
ところが、ぼくの肌に載せたとたん、ぼくの鼻の中にいっきに嫌悪感が広がったのだ。
なんだか、非常に苦手なサンダルウッド系のグリーンなクリーミーさが出てきてしまって、酷い拒絶反応を示してしまったのだ。
すぐに肌の上に載った香りを拭い去りたいと思ったので、お店の人に頼んでアルコールティッシュを出してもらったほど。
そして、それ以来、ぼくにとってカラギョスは「苦手な香水」の代名詞にもなった。

その時のエピソードはこちらの記事にも書いた。

 

1001perfumenights.hatenadiary.jp

 

そして、昨年末に銀座のNOSE SHOPに遊びに行った時に、ぼくは何の気なしにこの香りを試したんである。「苦手なんだよね」ということを再度試したかった。
これは最近とみにやっていることなのだが、自分の苦手を徹底的に分析したい気持ちが強くなり、苦手な香りも店頭などで試すようにしている。自虐的という話もあるのだが、苦手なら苦手ななりに、その原因を突き止めたいのだ。なんなら、「どの香料が入っているのが苦手なのか」ということを分析したいという欲求が強い。
苦手を突き詰めるという香りの一風変わった楽しみ方ね。
柑橘系が苦手というのは、もう自分の中ではわかりきっていることなので、そこらへんは、納得できるのだが、まだまだ苦手な香料はあるはずなので、それを突き止めたいのだ。

その一環としてカラギョズを再び試してみたくなったのだが、ムエットで試してみたらびっくりした。夏に感じた苦手なクリーミーさというのがまったく感じられないんである。

思わず声に出して「え?」と言ってしまったほど。
「これ、本当にカラギョズですか?」と確かめたくなるほどだ。
だって、ウェットティッシュでぬぐったくらいだぞ?
そんな香り、よっぽどだぞ?
それが平気になっているってどういうこと?と思った。

たまたまその時対応してくれたスタッフの子が、夏にも対応してくれた子で、その時のことをよく覚えていたので、二人してびっくりした。
そして、肌に載せてみたら…。あらまぁ、不思議。全然嫌じゃあないんである。
ちょっと待って!これ、なんなの?
ぼくの鼻腔は非常に混乱していた。もう、予測不可能なことがあると鼻の穴というのは一段と大きくなったんじゃないかっていうくらいもう、自分でもコントロールできないほど困った。

お店の方といろいろと話して分析したところ、おそらく湿度に大きく左右されるのではないかという結論に達した。湿度が高いと、ぼくの苦手なグリーンが前面に出てくるのだが、湿度が低いとフルーツが前面に出てくる。

そう、ぼくはフルーツ系の瑞々しい甘さは大好きなんである。
このカラギョズはパイナップルやグレープを使っているので、実は非常に瑞々しい香りなのだ。

これは本当にぼくの中では衝撃的な事件だった。
ことあるごとに苦手な香りの例として「カラギョズ」と言い続けていたし、なんなら「どんなに臭いか、NOSE SHOP銀座店で確かめてみて!」という勧め方をしていたくらい。

それが180度変わった感想を持つなんて!
もちろん、ちょっと苦手なグリーンみのあるクリーミーな香りもかすかに感じられるのだが、それを消すほどのフルーティーな香りが実に美しいのである。

そして、それがこの香りの影の部分を作り出している気がする。
単にフルーティーなだけじゃないのよ、という複雑さがあるのだ。
苦手意識がなくなると、とたんにぼくは愛着が沸いてしまう。
なんだ、お前、いいやつじゃん!と出だしがマイナスだった分、プラスに転換した時の反動も大きいということになるのだろう。

NOTES

Top notes:Grapes, Pineapple, Herbal Notes
Middle notes:Patchouli, Neroli, Jasmine
Base notes:Vetiver, Agarwood (Oud), Amber

苦手な香料のひとつであるサンダルウッドが入っているのかと思いきや、サンダルウッドは入ってないようなので、夏に感じたあのグリーン味の強いえぐみはなんだったんだろう?冬の空気の中で香り立つのはとにかくジューシーな香り。さらにベースにウードやパチョリやアンバーがあるものだから、実にユニーク。

My Evalution

★★★★

両手離しで好きな香りか?と問われると、ちょっと躊躇してしまうのだが、まだ今のところ冬の寒い時期だからなのか、苦手な香りの元は出てこないので、このままこの香りが好きな香りと言えるくらいまで良い意味で鼻の感覚を麻痺させておいて、年中使えるようになったら良いのになと思っている。
暑い時期に、また試してみたいと思う。